明治国家の完成

御厨貴『明治国家の完成 日本の近代3』、中央公論新社、2001

中公の「日本の近代」シリーズ、通史編の第三巻。だいたい日清日露戦争の少し前からの時期を扱うが、対外政策にはあまり紙数を裂かず、議会開設とその後の元老、藩閥勢力と政党の関係が詳述されている。教科書的な政党対藩閥の図式に浸かってしまっている頭には、こちらのほうがよい。
日露戦争を前にしても、挙国一致にはまったくなっていなかったこと、伊藤博文の元老と政党政治家の間での複雑な立場は興味深い。
それとは別に明治時代が世紀をまたいでいて、そのことを少なくない人々が意識していたという指摘は新鮮。20世紀から21世紀への境目はあまり明るくないものだったし。また、明治天皇が政治における積極的なプレイヤーの一員だったという指摘にも驚かされた。