帝都東京・隠された地下網の秘密

秋庭俊『帝都東京・隠された地下網の秘密』、新潮文庫、2006

戦前からあった東京の地下鉄は銀座線だけだ、ということになっているが、それは事実ではなく、実は多くの地下鉄や地下道路などの施設が建設されていたと主張する本。細部の真偽は確かめようがないが、通読すると大筋の記述は事実だと信じざるをえない。
国会議事堂前駅が深く掘られているのはシェルター用だろうという程度のうわさは耳にしていたが、事実はそんなレベルではなかったのである。
それにしても驚くのは、いかに戦前とはいえこれだけの大工事が秘密のうちにおこなわれ、しかも戦後の今にいたるまで、その秘密が保たれていたこと。
続編もあるようなので、取り寄せてみなければ。しかしこれだけの内容であれば、大宅壮一ノンフィクション賞くらいは当然と思う。