CO ケースオフィサー

麻生幾『CO ケースオフィサー』上、下、扶桑社、2004

アルカイダと元イラク諜報機関がつながって、日本に対して天然痘ウィルスによるバイオテロをしかけてくるという話。上巻のはじめのほうはやや話がぐずぐずしているような気がしないこともないが、バイオテロの計画が動き出すあたりから急に筆がなめらかになって、後は終わりまで一挙に読ませる。上巻で貼ってあった伏線も下巻ではきれいに展開する。著者の小説としては、これまで読んだ中ではまちがいなくベスト。天然痘ウィルスの恐怖が話をびしっと引き締めている。読んでいるときにたまたま体が熱っぽかったので、怖さも倍増。しかし材料をここまでてんこ盛りにして、きちんと手綱をとっていく著者の手腕はさすが。