ドイツの安全保障政策

中村登志哉『ドイツの安全保障政策』、一藝社、2006

ドイツの安全保障政策の変化を、湾岸戦争時から、イラク戦争メルケル政権の誕生まで一貫してフォローしている本。いつの時点でどういうことが争点になり、それがどう決着したかというだいたいのことがわかる。ドイツでは94年7月の連邦憲法裁判決で、議会の事前同意を条件として、NATO域外への出動、武力行使を含む広範な裁量が連邦政府に与えられたので、この問題は明白な形で決着した。日本では、おそらくこうした事例は起こらないだろうが、できればドイツにおける憲法裁の位置づけ、日本との司法の役割の違いについてもう少し解説を加えてもらいたかった。あまり分析的な本ではないが、基本的な理解と資料だと思えば役に立つ本。