沖で待つ

絲山秋子沖で待つ』、文藝春秋、2006

著者の芥川賞受賞作。相変わらず上手の出来で、読んでて気持ちいい。住宅設備の営業をしている主人公と同期入社の男の子の友情物語。芥川賞の選評をみると、仕事の内容についてのていねいな書き込みとか、構成力とかが評価されているようだ。しかし自分としては併録されている「勤労感謝の日」のほうが好き。こちらは会社をやめて無職の主人公が、近所のおばさんに見合い話をもってこられるのだが、相手の男のあまりのどうしようもなさに席を蹴って出てきて、という話。絲山秋子は悪態をついてるときが一番イキイキしているように思うのは自分だけ?読んでて非常にスカッとする。気持ちいい話。