日本の軍事システム

江畑謙介『日本の軍事システム』、講談社現代新書、2001

副題の「自衛隊装備の問題点」の方が、この本の内容をより正確に表している。この手の本は鮮度が重要だということは承知の上で、現在もなお価値のある本といえる。基本的な著者のスタンスは、自衛隊の装備品の問題点を指摘することを通じて、日本における防衛予算の議論に一石を投じることにある。国会における防衛予算の審議は非常におざなり、あるいは見当違いなもので、アメリカその他の民主国家の議会における予算審議のように、防衛費が妥当な使われ方をしているのかどうかをきちんと審査することが行われていない。その理由は国会議員およびその背後にいる国民に、防衛装備や軍事システムに対する基本的な理解が欠けていることにあり、その現状をなんとか改善しようという著者の意図(この本に限らず、江畑の著書には一貫したスタンス)が明確に表現されている。そういう意味で啓蒙的な本。