ニート

絲山秋子ニート』、角川書店、2005

短編集。表題作「ニート」と「2+1」が実質、前後編のようになっている。主人公がニートを拾って(元々の知り合いなのだが)、家に持って帰って、また出て行かれる。そんな話。なんか捨て猫を拾うような愛情があり(主人公自身も捨て猫とたいして変わらない感じなのだが)、拾われたほうはいっときなつくが、またいなくなる。このすっきり感がなんともいえずよい。あと、「へたれ」もいい。引用されている草野心平の詩がまたいい。いつもの絲山秋子のさわやかさ。しかし「愛なんかいらねー」は感心しない。というかスカトロは嫌いだ。
著者のWSを見ると、この「ニート」は異様にたくさんの著者インタビューを受けてるのだが、やっぱりタイトルが当たったのか。でも自分がニートだったら、こんなふうに拾ってもらえたらうれしい。