私小説

岩井志麻子私小説』、講談社、2004

ベトナム人と韓国人の愛人をもつ主人公がごはんをたべるような性欲と心の穴を埋めるために、日本とホーチミンとソウルを行き来する話。主人公の性欲がどのへんからわいてくるのか、わたしにはよくわからないが、その欲望も描写も、山田詠美を読んだときのようなネトネトした感じはまったくせず、非常に乾いているように感じられる。そのあたりはとてもいいところだと思う。こういうふうに性欲をドライに考えられるといいね。生活がすっきりするかもしれない。