日本の戦争責任をどう考えるか

船橋洋一(編著)『日本の戦争責任をどう考えるか』、朝日新聞社、2001

タイトルとは異なり、内容は「アジア諸地域における歴史的問題とその和解について」開かれたシンポジウムの内容をまとめたもの。確かに表題と本の内容の間に関係はあるが、こういうタイトルのつけ方はちょっとあざとい。

シンポジウムの参加者は外交官や学者であっても比較的穏健な立場をとる人物からなっているので、そんなに極端な意見は出ていない。しかし、こういうシンポジウムでは極端な意見が出ていないということ自体が、ある種のバイアスがあることを示しているとはいえないか。例えばオーストラリアからはエバンス元外相が招かれているが、これが保守党の政治家なら相当違うことをいっているはずである。基本的に話をまとめたがっている人たちが集まれば確かに話はまとまるが、問題はそれでは納得しない多くの人々が取り残されるということではないのか。

船橋洋一がそれぞれのセッションの議論のまとめと全体の総括を書いているが、船橋は自分の意見が穏健でかつ中国や韓国とも折り合えるものだと思っているのだろう。しかし、自分の意見に納得しない人たちに対して、彼はどういう言葉を持っているのだろうか。