父の縁側、私の書斎

檀ふみ『父の縁側、私の書斎』、新潮文庫、2006

著者の「家」関係のエッセイ。家といっても主に建物のほう。なんと著者は生まれてからずっと同じ家に(建物は建て替えられているようだが)住んでいるのだという。生まれてから何度引っ越したかわからない自分には見当もつかないことだが、それだけ長く住めば並みでない愛着もわいてくるだろう。表紙は著者と父、檀一雄が縁側で一緒に写っている写真。見た目の感じから、著者は中学生か高校生か。たぶん著者にとって一番よき思い出の一つなのだろう。エッセイの出来も、檀ふみのいままでのものの中では一番いい部類に入ると思う。あまり作りこんでなくて、素直な文章になっている。ついでに扉の写真は近影だと思うが、すごい美人に写っている。