中学校のシャルパンティエ

小谷野敦『中学校のシャルパンティエ』、青土社、2003

小谷野敦の音楽エッセイ。相変わらず中身はおもしろいけど、「シャルパンティエ」なんていっても、普通の人にはわからないのではないか(まあそれをねらっているのかもしれないが)。この本を読んで教えられたこと、いくつか。「ひみつのアッコちゃん」(初代)の主題歌の歌詞、「そいつの前では女の子」のそいつとは鏡のことだった。今までぜんぜん気づいてなかった。「帰ってきたウルトラマン」の主題歌の歌詞、「怪獣退治に使命をかけて」は日本語としておかしい。なるほどそうだ。

大河ドラマのテーマ曲に偏執狂的な知識をもっている著者だが、「草燃える」のテーマが駄作だという主張は納得できない。武田鉄矢は役を選んでいないから力のわりに評価されてないとか書いているが、そうかなあ。それに「元禄繚乱」のテーマはマンネリだといっているが、池辺晋一郎の作ではあれが技巧的にはとてもよくできてるじゃないか。まあ、別にいいけど。あと、著者には珍しい間違いを発見。ワーグナーの結婚行進曲を「パルシファル」からと書いている(もちろん正解は「ローエングリン」から)。他人の間違いを指摘するのが好きな人の間違いがわかるとちょっとうれしい。