核大国化する日本

鈴木真奈美『核大国化する日本』、平凡社新書、2006

日本の原子力政策と核拡散問題を結び付けて、原発、特にプルトニウムサイクル政策の放棄を主張する本。核燃料サイクルの章は、この手の啓蒙書としてはぎりぎりわかりやすく書かれていると思う。核兵器拡散の章では、日本やアメリカに北の核保有を批判する資格がないとかおかしなこともいっているが、そういうチャチャを除いた部分、核燃料サイクルの諸部分がもたらす問題についてはきちんとまとめられていると思う。しかし著者が反核運動家だということがあるのだろうが、原子力政策については単純な原子力一切放棄か、プルトニウムサイクル全部かという選択にはなっていないのに、そういう全部か無かという選択(つまり原子力発電を一切放棄しろということ)を読者に押し付けてくるのはどうか。そういう書き方をするから、こういう本はどこまで信用していいのかわからなくなる。