戦争請負会社

P.W.シンガー『戦争請負会社』、山崎淳訳、NHK出版、2004

長いこと読まなければと思っていてやっと読めた。ちょっとポップな感じの装丁とは違い、PMF(Privatized Military Firm)に関する研究、概説書。いわゆる傭兵の歴史にはじまり、それがPMFに拡張されるプロセス、PMFが関わる業務分野、代表的なPMFの紹介から、契約上発生する問題、PMFと国家の関係、倫理的問題、といった主要な論点がカバーされ、戦争に関わる業務を請け負う民間企業のあり方と問題点に関する包括的な概観を行っている。日本人がこの問題について書いているほかの本は、これに比べるとスポット的な描写をしているにすぎないので、非常に貴重な本。やはり安全保障の新しい分野の本は日本では手薄(例外もあるけど)なことが多い。