バカのための読書術

小谷野敦『バカのための読書術』、ちくま新書、2001

タイトルはちょっと奇をてらっていて、というか売れるためにキャッチーな題をつけたのだろうが、より正確には「知識はないが、これから勉強したいと思っている人のための方法論」というようなもの。ひさびさに再読したのだが、やっぱりおもしろい。小谷野敦の中で一番芸が冴えているのは「帰ってきたもてない男」だと思っていたが、素直な底力ではこれも匹敵するおもしろさだと思う。しかもためになる。呉智英への「恩返し」だと著者自身が書いているが、確かに呉のおもしろさ、有用さとタメを張っている。しかしいちばん肝心なことは、「簡単なことからはじめて順を追って知識をものにしていく」という平凡だがその分重要な著者のメッセージだと思う。勉強法に変てこりんなものは必要ない。

それと、裏表紙の写真が「もてない男」より、えらくさわやかに写ってるのはどういうことか(この疑問はむしろ逆だけど)