栽培植物と農耕の起源

中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』、岩波新書、1966

古色蒼然とした岩波新書青版だが、内容は非常におもしろい。植物学の視点から農耕文化複合と文明の関係を論じるというエキサイティングなテーマに挑んだ名著。植物学とはまったく無縁の者でも、どんどん読み進むことができ、しかも楽しい。気候と農耕のあり方がこれほどまで多様だということ、それと人間の生活のあり方がどれほど深く結びついているかということが一読してよく理解できる。薄い本ではあるが、ぎっしりと有用な知見が詰め込まれている本。