官邸主導

清水真人『官邸主導』、日本経済新聞社、2005

村山政権から小泉政権にいたる間の経済政策の決定過程を、政策過程と政局の両面から描き出そうとした本。著者は日経で長年政治部、経済部に在籍し、この間の政治的変化について多くを知る立場にいて、情報量は豊富。冒頭に2005年の総選挙後の小泉政権の人事についてのエピソードがもってきてあるが、そこではっきりした「官邸主導」の政治過程が、この十年あまりの政治的変化によってどう形成されてきたのかをさぐることを主題にしていて、焦点のはっきりした政治分析になっている。特に政局の流れと政策をからみあわせていることで、研究者の政治分析とは違った切り口での政策過程の理解に大きく貢献している。