四季~ユートピアノ~

「四季~ユートピアノ~」、中尾幸世主演、佐々木昭一郎演出、NHK製作、1980

女の子(中尾)が音の記憶とともに成長し、ピアノの調律師となり、昔の記憶と出会う話。数多くの賞をとっていて知っている人は知っている作品。たしかしばらく前にNHKアーカイブスでかかったのを見たはずなのだが、どうも内容が頭に入っていなかった。今回CSの日本映画専門チャンネルでかかっていたので見た。

主演の女の子、中尾幸世がすごい。ドラマ出演は2作目で学生ということだが、圧倒的な存在感がある。表情がどんどん変わる。番組が終わった後で、出演者(中尾)、演出、撮影らスタッフの「同窓会」のビデオが放映されていたが、製作から25年以上たっているのに中尾はドラマとまるっきり雰囲気が同じ。おそるべし。

しかし出演者(主演以外はみな素人だとのこと)をここまできれいに撮るのは脚本と演出の佐々木の力だろう。ストーリーはあるのかないのか、ドラマなのかドキュメンタリーなのか、よくわからない脚本だが、それがなんともいえない味わいになっている。時間の流れを忘れさせるような作品。