そしてドイツは理想を見失った

川口マーン惠美『そしてドイツは理想を見失った』角川新書、2018


最近ドイツ関係の本をたくさん書いている著者の本。はじめて読んだが、けっこうおもしろい。

肩書は作家となっているが、元は音楽をしていた人。音楽留学でドイツに渡った後、当地で結婚しそのまま住んでいる。生年が書いていないが、子供を育てていたことを過去のこととして書いているので、もう成人した子供がいるとすると、40代後半以後だろう。

ドイツの反ナチズムから書き始めて、メルケル政権、ドイツと中国の蜜月関係、エネルギー、難民政策、EU関係など、最近のドイツがおかれている情勢をざっと見渡した本。

はっきり物を言っているが、それほど極端な立場をとっていることはなく、読みやすく、よくまとまっている。学者というわけではないが、むしろバランスの取れた見方ができる人が、わかりやすく書くほうがいいということもあるだろう。エネルギー関係の本が受けているので、そちらも読んでみる。