キリスト教は邪教です

ニーチェ(適菜収訳)『キリスト教邪教です 現代語訳『アンチクリスト』』講談社プラスα新書、2005


適菜収の「超訳」反キリスト。超訳でない訳は読んでいないのでなんともいえないが、これは非常におもしろい。キリスト教否定、民主政否定、信仰否定の本。

これを読むと、宗教がまるごと否定されているだけでなく、西洋の歴史そのものがほとんど否定されている。キリスト教だけでなく、プラトンもダメダメで、当然中世からこの本が書かれた19世紀までの歴史もすべてダメ。

人間の制度は、弱さをごまかすためのもの。人道主義もそのごまかしのひとつ。当然人権とかもそのごまかしの一種。そこまで言ったら、社会制度はすべてごまかしだということになるだろうが、まあ、そういうことだろう。その最悪のものがキリスト教だということ。もちろん、ユダヤ教イスラム教や仏教も、そのごまかしの別バージョンだということだろう。

あとがきは松原隆一郎が書いていて、これもおもしろかった。拾い物だった。