沼尻竜典 ワルキューレ
ジークムント:アンドリュー・リチャーズ
フンディング:斉木健詞
ヴォータン:ユルゲン・リン
ジークリンデ:森谷真理
ブリュンヒルデ:ステファニー・ミュター
フリッカ:小山由美
歌手は、どれもかなりいい出来。新国立劇場の「ワルキューレ」よりよかったと思う。特に、ジークムント、ジークリンデ、ヴォータン、ブリュンヒルデの4人は全員いい。もっと声が出ていればと思うところもなくはないが、あれだけ歌えているのは、ヨーロッパの大きな劇場でもそんなにはない。3幕の最後はボロ泣きしてしまった。
京響は、そんなにできるのかと思っていたが、これもなかなかいい出来。もっと鳴っていればとも思うが、それよりあれだけできるのかということに驚いた。東京以外で、指環の公演が成り立つことを示しただけでもエラい。沼尻竜典は、これだけオケを引っ張れたのだから、すごい人。
そして、今回の公演でよかったのは、演出。まったく現代っぽいところがなく、ワルキューレはちゃんとよろいかぶとをつけているし、1幕の背景は自然、3幕も岩山。いまどき、こんなに天然な演出はないだろうと思ったが、これでいい。別に変な意味付けはいらないし、ワーグナーの指定通りにやってくれればいい。演奏がよければ十分。
来年は「ジークフリート」だから、絶対に行こう。去年見なかったのはかえすがえすもくやまれる。