女の残り時間

亀山早苗『女の残り時間 ときめきは突然やってくる』中央公論新社、2007


亀山早苗の不倫ドキュメント本。学者との対談なんかより、こっちのほうがずっとおもしろい。そもそも不倫は理屈でもないし。

出てくるのはほぼ全部40代女性だが、なぜ40代に取材対象を集中させているのかはよくわからない。初出は『婦人公論』の連載なので、その企画が40代向けということだったのかもしれない。不倫している人が40代だけなどということはなく、50代でも、60代でもいないことはないと思うので、各年代が揃ったほうがおもしろいと思うが。

しかし、出て来る人たちは、みな生々しい。下手なエロ雑誌など、実物の体験談の前にはぜんぜん大したことはなく、みな、喋り放題。描写もあけすけ。自分の不倫など、かんたんに他人にしゃべれるようなことでもないので、ここぞとばかり、みな話しているのだろう。自分が40代で、もう終わっていたと思っていた人が、「そうでもない」とわかると、非常にうれしいものらしい。

あとは、いまどき、40代などはぜんぜん老けておらず、余裕で現役の年齢。しかし、老化は確実にやってきているので、自分がいつまでも女として見てもらえるわけではないということもわかっている。だから、その分はじけているということもあるだろう。さらに、家庭内の関係がもう男女関係ではなくなっていて、それにたいする不満と不安もあり。

まだ花が咲く年代ではじけたところで、大した問題はないとも思うが、この本には、「夫にバレた」話は載っていない。みなさん、そこはだいじょうぶなのかどうか。