ノンフィクションW ワガノワ 名門バレエ学校の秘密

「ノンフィクションW ワガノワ 名門バレエ学校の秘密 〜くるみ割り人形への110日〜」、2016


サンクトペテルブルクマリインスキー劇場付属バレエ学校、ワガノワの学生を描いたドキュメンタリー。

このバレエ学校のお披露目公演は、12月のクリスマスシーズンに行われる「くるみ割り人形」。これはマリインスキーで初演が行われた伝統ある演目。この公演が5日あるのだが、トップのマーシャ(よく「クララ」となっているが、ロシア語ではこれ)役が誰に当たるかが問題。5日の公演はそれぞれ別キャストで、初日のマーシャに当たるのが一番上手い学生。

卒業年次の学生が選ばれるとは限らないので、競争がきつい。この卒業年次での最優秀はヴェーラ。この子が初日のマーシャを狙っているが、ライバルは1年下のエレオノーラ。どちらも学年最優秀だが、校長は「上手い者を当てる」というだけ。

キャストが発表されるが、初日のマーシャに当たったのはエレオノーラ。ヴェーラは、4日目になった。悔しそうだが、それでもまだやれる。

公演直前にガラがあり、これに出たヴェーラは失敗してしまう。その結果、急遽マーシャ役は交代。エレオノーラが、初日と4日目の2日間を踊る。ヴェーラは、群舞の一人に格下げ。

ヴェーラは、「いままでに一番辛い思いをしたから、これからはどんなことにも耐えられる」と言っている。エレオノーラもプレッシャーで潰れそうになっているのだが、こちらは初日を成功させる。あまりにも対照的な二人。

芸術の世界はどこもきついが、バレエは子供から始めないと間に合わないし、途中でどんどん振り落とされるから残酷。ヴェーラだって、これからもバレエで生きていく人。見ていてつらい。