アオサギとツル

アオサギとツル」、ユーリ・ノルシュテイン監督、ソ連、1974


ノルシュテイン監督特集として、2Kリマスターの制作過程、アニメ作家やマンガ家のインタビューと、ノルシュテイン本人に対するインタビューに、ノルシュテイン作品を組み合わせた放送があって、これはその1本。

#1は、「キツネとウサギ」、「アオサギとツル」、「霧の中のハリネズミ」。この3本、どれもいいが、自分は「アオサギとツル」が一番好き。これはラブストーリー。

アオサギ(メス)とツル(オス)の恋愛劇ということになっているが、これは完全に人間の恋愛劇。しかし、人間の実物が出たのでは、この味は絶対に出ない。アオサギとツルの動きの細かいところが、「人間同士の恋だが、動物の形でしかできない」ようになっている。

ノルシュテインご本人のインタビューでも、「動物ものを作りたかったのではない」と言っており、そこはちゃんと意図されたもの。

恋が成就するのではなくて、行ったり来たりの微妙なすれ違いで終わっているところもすばらしい。というか、恋が成就したということになると、寓話の形式は使えなくなってしまう。これしかないというところに、きちんと決めている。

10分作品だが、これで完成されている。このリマスター版は、2016年制作だが、ノルシュテインが生きているうちに、つまり製作者の同意を得て、このリマスター版が出て本当によかった。