広島ジャンゴ

「広島ジャンゴ」、演劇引力廣島第14回プロデュース公演、作・演出 蓬莱竜太、アステールプラザ、2017.2.18


蓬莱竜太が、広島に出張して行う3年プロジェクトの2年目の作品がこれ。内容は・・・微妙。

カキ打ち工場のパート、山本(熊谷弥香)が飲み会に来なければクビ、と工場長から圧力をかけられているのだが、その部分が最初と最後に来る。中間部分が西部劇になっていて、西部の町ヒロシマに流れ者のジャンゴ(熊谷、二役)が娘を連れてきて、それに圧力をかけるのが町長(工場長と二役)と悪者たち。工場のパートさんへの圧力と、西部劇の流れ者が処刑されかける話が二重になっているというもの。

はっきりいえば、プロレタリア演劇。蓬莱竜太は、沖縄戦ものである「木の上の軍隊」を書いている人なので、まるっきり心はサヨクなのだ。革命アジとか、権力への抵抗とかそういう話。まあ、それが好きな人には合うだろう。実際、劇場ではすすり泣いている人とかいたし。

舞台は非常にうまくつくってあり、音楽はドラムを叩いている人(1人だけライブ)が上手で、見せ方はさすが。しかし、ざんねんなことに役者にあまり力がない。基本的にあまりうまい人がいない。この芝居の性格上、うますぎてはよくないのだと思うが、それでも脚本の可能性が十分に生かされていないと思う。

チケットは1週間前に完売していた。200人くらいしか入らない小屋で、上演回数は5回くらいなので、演劇砂漠の広島で、チケットが全部はけるのは驚異的。役者に有名人はいないので、蓬莱竜太の名前と営業努力だろう。これはたいしたもの。