ニァイズ

カレー沢薫『ニァイズ 東京都写真美術館ニュース別冊~「クレムリン」出張版』講談社、2016


東京都写真美術館のPR誌に、カレー沢薫が、『クレムリン』の登場キャラを使って連載していたコミックエッセイ。内容は当然写真美術館の宣伝。しかしこれはおもしろい。

PR誌に載せるものなので、内容は展覧会かと思ったらそうではなく、主に写真美術館(写美)のスタッフを使って遊んでいる。写真そのものはマンガに貼り込めるわけじゃないし、マンガで写真の模写をしても意味ないので、展覧会の説明なんかは最小限しかない。

それより美術館の裏方さんが何をしているのかがおもしろい。だいたい学芸員だけど、管理部門の人やカフェの店員、看視さん、それから一番エライ館長まで、いろいろ出てくる。写美の館長は、資生堂福原義春。雲の上の人で、さすがの作者も本人には会っていないらしい。出て来る写美の人はだいたい猫キャラになっている。

写真美術館なので、収蔵庫があり、保存の専門家がいるし、映画の上映会や、いろんなイベントがある。図書室、カフェ、ミュージアムショップもおしゃれ。学芸員がどういう仕事をしているのかとか、ネタはたくさんある。

広報誌もまじめな仕事の紹介とは別に、こういうコンテンツがあるとおもしろいのに。カレー沢薫が描いているからおもしろい、というのはあるとしても、ちょっと気の利いたマンガ家はたくさんいるはず。

このマンガ、2011年から出ていたのだが、写真美術館は、2014年9月から2016年8月まで改修工事のために休館。いまは新しくなったので、行けるのだ。ちょうどよいタイミングでマンガも単行本化されたので、今度東京に行ったら是非行くわ。