黄金バット(1966映画版)

黄金バット」、千葉真一、山川ワタルほか出演、佐藤肇監督、東映、1966


これは珍作。黄金バットの映画化第2作。第1作は1950年製作だが、そっちとはぜんぜん関係なく、1967年放送のアニメ版のためのパイロット版みたいなもの。とはいえ、こっちは実写なので、かなり違うテイスト。音楽はアニメ版と同じなので、その点は味わい深い。

黄金バットの造形はアニメ版とだいたい同じだが、アニメだと気にならないドクロのマスクは実写だとかなり変。もっと変なのは、敵のナゾー。これは人間が変な布をかぶっているだけ。あかんでしょ。

しかも、ナゾーの部下に「ケロイド」というのがいるが、これ、単に顔がやけどだらけの男。よくこんなものが映画でできたなー。ウルトラセブン12話事件より前は、こんなことができたのだ。

千葉真一は、黄金バットじゃなくて、ナゾーの陰謀から地球を守るパール研究所のヤマトネ博士。博士のくせに、所員からは「隊長」と呼ばれている。博士なのか、隊長なのか、どっちかはっきりして。

パール博士の孫というのが、なんと高見エミリー。この前死んじゃった鳩山邦夫の奥さんだ。とてもかわいい。後年、「仮面ライダー」に出ていた時は見ていたが、この時はまだ子供。

千葉真一の部下に中田義久がいたり、警官で青島幸男が出ていたり、キャスティングは楽しめる。

特撮やセットは、涙が出るレベルでしょぼく、本当の子供だまし。ナゾーの戦艦はスケール感皆無。ナゾーが地球を滅ぼすために呼び寄せた惑星イカロスを超破壊光線砲で吹き飛ばせという話だが、こんなおもちゃみたいな光線砲で、惑星吹き飛ぶのか?これはいくら子供でもがっかり。ナゾーは、下半身が円盤につながっているのに、いきなりどこかに消えちゃうし。

東映の特撮、「宇宙快速船」(1961、ニュー東映)からほとんど進歩がみられない。「海底大戦争」(1966)は見ていないが、これと同レベルなのかなあ。単にお金をケチったので、ショボいだけかもしれないが・・・。アニメ版だとごまかせたことが、実写ではうまくいかないという例。