誰が沖縄を殺すのか

ロバートD・エルドリッヂ『誰が沖縄を殺すのか 県民こそが”かわいそう”な奇妙な構造』PHP新書、2016


著者の近著。ちょっと微妙な本。

言いたいことはわからないでもなく、事実関係は著者の視点でまとまっているが、かなりの部分は自分の恨みで書かれた本。

沖縄の新聞が偏っているというのはいいとして、百田尚樹など擁護してもはじまらない。著者は、沖縄の新聞にさんざん叩かれたり、無視されたりしていて、仕事までそのせいでなくしてしまったので、憤懣が募っているのはわかるのだが・・・。

著者は、辺野古移設案とは違う案(勝連案)を推していて、そのために防衛省からも遠ざけられていたという。それで辺野古案は最善ではないと言っているのだが、それを言うのなら、辺野古案が現在残っている経緯について、ちゃんと調べないことには。

基地反対派のやりたい放題の活動とか、部分的には参考になることはある。とはいえ、著者は物事は著者の考える視点では決まっていかないことを考える必要があるだろう。ここまでこじれると、俯瞰的に見ることはむずかしいのだろうが。