味園ユニバース

味園ユニバース」、渋谷すばる二階堂ふみほか出演、山下敦弘監督、「味園ユニバース」製作委員会、2015


タイトルになっている「味園ユニバース」(これは複合ビル「味園ビル」のキャバレー。現在はキャバレーとしての営業は休止して、イベントスペース)にひかれたので見てみたが、全然出てこない。最後の場面の舞台として登場するだけ。しかし、映画そのものは普通におもしろい。

金属バットで殴られて記憶喪失になった男(ポチ男=渋谷すばる)が、公園に現れて和田アキ子の「古い日記」を歌い出すのが発端。この渋谷すばる関ジャニ∞の人だというのだが、むちゃくちゃ歌うまい。ジャニーズはこんな玉を持っているとは。おそろしい。

それを拾って、「ポチ男」と名付けて飼い始めるのが、カラオケ屋をほそぼそと経営する女(カスミ=二階堂ふみ)。あまり可愛くないが、若くして名女優と言われているだけのことはある。逸材だ。

基本は、音楽映画。カスミが仕切っているバンド「赤犬」のメンバーとポチ男がからんで、最後は味園ユニバースでのライブで締め。他の楽曲も含めて、渋谷すばるは、文句のない歌を歌っている。うまいだけでなく、迫力、ちょっと小汚い姿も含めて強烈な印象をあたえる人。

二階堂ふみは、ぶっきらぼうな関西弁、ドライな雰囲気、セリフの強さ、どれをとっても文句が付けられない。山下敦弘は、いい役者をよく捕まえてくる人。

しかし、ストーリーとしては、ポチ男が記憶を取り戻してからの話が不自然。無理やりまとめた感じはちょっと納得いかない。まあ歌がいいから許すけど。