旅する映写機

「旅する映写機」、森田恵子監督、2013


いまどき、映画はデジタル上映があたりまえだが、映写機でフィルムを回している映画館もないわけではないので、そういうものがあるうちに取材してしまえという映画。

北海道から、高知まで、いろいろと回っているが、NHKに映った本宮映画劇場も出てくる。田舎の映画館だと常時上映ではなく、日を決めて営業していることが多い。

疑問なのは、新作映画はもはやフィルムにプリントされることはないと思うのだが、完全に旧作だけでやることにしているのか、客は誰が来ているのか、映写機のメンテナンスや交換部品はどうしているのか、何より収支はどうで、ちゃんと経営できているのかということ。

この映画を見ていても、客のショットが少し映るが(だいたい老人)、それ以外のことはよくわからない。フィルム上映をわざわざやろうというのだから、情熱はあるに違いないが、それだけで映画館をやっていくことはむずかしいはず。

記録映画なので、こういうものがあるだけでも価値があるのかもしれないが、もうちょっとちゃんと突っ込まなければ。ドキュメンタリーはそのためのもの。