やくざ戦争 日本の首領

「やくざ戦争 日本の首領」、佐分利信鶴田浩二ほか出演、中島貞夫監督、東映、1977


東映のヤクザ映画集大成みたいなもの。高倉健以外のヤクザ映画の主要な俳優はほとんど出ている。モデルは山口組で、年代は昭和40年代に設定されているので、どこの場面や人物が何にあてられているのか、だいたい見当はつく。

単純にお話としておもしろい。「アベ紡績」が「中島組」とずぶずぶになっていく過程、カタギの医者(高橋悦史)がいつのまにか「ファミリー」の一員になったりするところなど、おもしろエピソードも豊富。

見どころは、東映ヤクザ映画の豪華な顔ぶれ。特に佐分利信は、ヤクザ映画にほとんど出ていないが、抜群の存在感。鶴田浩二やほかの幹部達が関西弁を話しているのに、佐分利信は標準語。それでも全然違和感がないのは、佐分利信の役者としての底力。

鶴田浩二の下にいる組幹部(千葉真一成田三樹夫)、敵組織(菅原文太)、会社重役(西村晃)、政治家(金子信雄)など、出るべき人が出るべきところにおさまっている。このキャスティングは、どうしても再現できないものなので、昔の俳優の厚みを感じる。