暁の七人

「暁の七人」、ティモシー・ボトムズほか出演、ルイス・ギルバート監督、アメリカ、1975


第二次大戦中のハイドリヒ暗殺事件を扱った映画。ティモシー・ボトムズがハイドリヒを暗殺するチームのリーダー。

最初のところはハイドリヒが制服を着用する場面をえんえんと映していて、これがなかなかかっこいい。前半の主役はむしろハイドリヒみたい。暗殺チームとレジスタンスは、貧相でショボい。しかし、この映画で大事なのは後半。

始まって1時間ほどでハイドリヒはあっさり暗殺されてしまう。ハイドリヒの車の運転手は、狙撃しに来た暗殺チームを追いかけて車を離れていってしまう。その間に爆弾でハイドリヒは致命傷。運転手、アホちゃうか。さっさとハイドリヒを逃がすのが仕事だろう。暗殺チームの計画もあまりよく練られておらず、こんなので殺されたらハイドリヒも浮かばれない。

暗殺後は、犯人を徹底的に追及するドイツの報復劇。リディツェ村は、暗殺チームに加担したかどで村ごと抹殺。震え上がったレジスタンスの一人が、ドイツ側に暗殺チームの協力者の隠れ家を密告。あとは芋づる式に、暗殺チームが隠れている教会がバレてしまう。

ドイツ側は、バカ正直に教会に突入してバンバン殺されまくっている。中に隠れている7人は、無限に弾薬を持っているみたいで、ドイツ兵はハエのように死んでいる。しかし、多勢に無勢で、袋のネズミ。3人は殺され、4人は地下室にいるところを見つけられる。

後は、消防車を持ってきて、地下室を水攻めにして降伏させちゃえということになる。もっと早くこの作戦を思いつけよ。最後に2人だけ残るのだが、どうにもならないので自殺。ティモシー・ボトムズの愛人は、外から悲しそうに見守るだけ。

エンドロールで登場人物のその後が一人ひとり紹介され、密告者を含めて、ほとんど殺される。アメリカ映画だが、チェコ人部隊やレジスタンスは英雄扱い。ハイドリヒ役の俳優(アントン・ディフリング)がよく演じていたのと、映画全体に漂う陰惨な雰囲気がけっこう良い。同じ題材を扱った「死刑執行人もまた死す」はまだ見ていないが、これを見てちょっと見る気になってきた。