陸軍中野学校 雲一号指令

陸軍中野学校 雲一号指令」、市川雷蔵加東大介村松英子ほか出演、森一生監督、大映、1966


またまた見てしまった「陸軍中野学校」。とりあえず第2作。個人的には、これはかなり好き。

前作で椎名次郎は中国に行かされることになっていたのだが、朝鮮を走っている列車に草薙中佐からの電報が届いて呼び返される。昔の緊急連絡ってこうしていたのだ。

中国に向かう特三型砲弾を積んだ輸送船が爆沈。この事件「雲一号」を調査解明するのが今回の任務。舞台は神戸ということになっている。

神戸憲兵隊の隊長(戸浦六宏)と、イヤミ満点の副官(佐藤慶)が待ち受けている。佐藤慶は、すべてにおいて椎名を敵視していて、イヤミを飛ばす。仕事の相棒は前回も出た早稲田卒の杉本(仲村隆)。

工場の夜警をつけ回し、芸者の梅香(村松英子)があやしいと睨んで、梅香を徹底調査。途中、椎名の大学時代の同窓生(中野誠也)がスパイだとわかったり、いろいろ突き止めるのだが、スパイ組織の全貌がなかなかわからない。

とうとう梅香が、佐藤慶の出張に秘密で同行して書類をカメラで写しとるところを目撃。カメラからフィルムを抜き取って証拠をつかむ椎名。このフィルム、どうみても110フィルムだが、この時代にはないよね。

佐藤慶に直接事実を突きつけると、そんなバカなと梅香を呼びだす佐藤慶。最初はしらを切っていた梅香は、椎名に事実を暴かれると傲然と開きなおり、「信念のない人間は常に愚かなものです」と、佐藤慶をバカ扱い。佐藤慶は、ピストルで梅香を射殺し、自分も即自殺。椎名、止めなさい。

梅香がフィルムを手渡した伊達三郎(第4作「密命」の憲兵役)をつけて、教会の神父を捕まえる。こいつがスパイのボス(H.ジョンソン)。日本語は下手で、セリフは棒読みだ。犬の首輪にくくりつけられたメモから、工場に爆弾が仕掛けられ、午後5時に爆発することが判明。工場に急行した椎名は、変な探知機で爆弾を見事発見するのでした。

「工場のどこかに爆弾が」というあいまいな話と、役に立たなさそうな探知機であっさり爆弾を発見する椎名はさすが。この爆弾、爆発しそうなものの近くに仕掛けられてないしね。

今見るといろいろとおかしいが、村松英子が凛としていて、美人かつツンツンでよい。最後に佐藤慶を罵倒するところはゾクゾクする。佐藤慶は悪人面で小悪党、情報漏れの出処になっていて、一作目の待田京介に相当する。

あと、おもしろいのは佐藤慶のセリフ。「欧米諸国、並びにソ連、そして交戦中のシナ、すべて人類の敵じゃないか」と言い放つ。人類の敵とは大きく出たが、そっちの方が多数派だ。ザ・戦時中の感覚は新鮮だ。