桃太郎 海の神兵

「桃太郎 海の神兵」、瀬尾光世監督、松竹、1945


日本の長編アニメーション映画第2作。これはけっこうよくできている。

海軍落下傘部隊(桃太郎、イヌ、サル、キジほか)が、白人の鬼(それっぽく描かれている)が支配する鬼ヶ島を占領して解放するというおはなし。しかし戦闘場面は少なく、基本はミュージカルアニメ。

基地建設や、日本語教育の場面が音楽付きで楽しく描けている。音楽は、古関裕而サトウハチローなので、ぬかりはない。原住民の教化と日本軍への協力というストーリーだが、宣伝臭を過度に出さないようにできている。

さすがにディズニーの「白雪姫」、「ファンタジア」、「ダンボ」といった同時期の傑作には及ばない(あっちはカラーでこっちは白黒だし)が、実写の戦意高揚映画のドイヒーな出来に対して、こっちは現在でも佳作としてちゃんと見られる出来。クレジットが出ているのは、一部のスタッフだけで声優はわからない。しかし声優も、絵もいい出来になっている。飛行機(九六式陸上輸送機)、乗員や地上要員、落下傘部隊の動きもきちんと描けている。

プリントの状態はよくないが、見られること自体がありがたいのだから文句はいえない。これは著作権が切れているのだから、もっと流れてもいいのに。