かくて神風は吹く

「かくて神風は吹く」、阪東妻三郎片山明彦、嵐寛寿郎ほか出演、丸根賛太郎監督、大映、1944


元寇弘安の役)ネタの時代劇。戦争末期の映画なので、徹底抗戦スローガンと二重写し

文永の役が終わり、再度の元軍侵攻に備える鎌倉武士。しかし河野通有と忽那重義は仲が悪かった。とはいえ、国が滅びては元も子もない。日蓮の演説やら、北条時宗の演説で、啓発された忽那の弟が間に立って、両家は和解。神国守れと元軍に立ち向かうのでした…。

バンツマのほか、市川右太衛門片岡千恵蔵嵐寛寿郎らのオールスターキャスト。

しかし大スターの演説はともかく、戦争場面はちゃちだし(船のミニチュアは円谷英二がやっているので、これはまあいいが)、元の使者が斬られるところも緊迫感ゼロ。最初と最後に富士山が出てくるが、カメラに近い方の岩場に波が打ち寄せていて、海の向こうに富士山が見えているのはおかしくないか?

ラストに映る字幕は「人毎に 力の限りつくしてぞ 後こそ吹かめ 伊勢の神風」というもの。まあ企画 情報局、後援 陸軍省 海軍省、軍事保護院というものなのでしかたなし。

音楽の使い方は下手だが、聞き覚えのあるメロディーがタイトル曲その他で流れまくっている。これが、日本テレビのオープニング、鳩の絵が映っている場面で流れている曲。作曲者が同じ深井史郎で、この映画の曲を日テレに流用しているのだ。いろいろややこしい。