スケオタデイズ

グレゴリ青山『スケオタデイズ 戦慄のフィギュア底なし沼』、KADOKAWA、2015


これもコミックエッセイ。ネタはフィギュアスケート観戦。フィギュアスケート、ジャニーズ、宝塚は、女ヲタの三大底なし沼という話を昔聞いたことがあるが、スケートのことはよくわからなかった。しかしこの本で納得。スケオタは業が深い

著者が初めてスケートを生観戦したのは結構最近のことで、2013年2月だと言っている。だったら、そんなに古くはないのだから、ハマり方も浅いのかとおもいきやそんなことはなく、ドハマりしている。

生観戦に行くと、会場の異様な熱気や緊張感があって、それで引きずり込まれてしまっている。競技スケートだけではなく、順番のつかないアイスダンスでも、観客にリンクと同じ振付を真似させたりして、ちゃんと客を引き付けている。

スケオタの人は、リンクの上でくるくる回る選手(著者の場合は男女問わず)にイカれているので、選手一人一人への愛がある。スターが集まるグランプリだけではなくて、地方の、チケット無料の大会でも、審判に近い所に座って、氷上にスケート靴がたてる音や選手の氷上を間近で見ているし、未完成な選手の演技にも魅力を感じているので、これはこれでアリなのだ。地下に飲み物を買いに行くついでに町田樹の本物を目撃したりしているし。

それに、スケオタ同士の横のつながりも大事。ベテランのスケオタは、初心者に懇切丁寧に見方や採点基準を教えてくれたりする。こうやって、ファン同士でつながっているので、どんどんハマっていくわけね。

スケートの大会は、日本だけでなく、外国でバンバンやっているので、それにも行かないといけないからたいへん。しかもテレビ放送されている試合の録画を残すために、ビデオを編集しなければならなくなり、どんどん時間が食われていくなど、本当に沼が深い。

ジャニや宝塚と共通点はあるが、ヲタの沼はそれぞれに違っているし、人生の時間をどんどん占領していくので、ヲタの兼業はなかなかできないだろう。スケオタを甘く見ていたが、ハマっている人の世界は違うのだ。