魔界転生(1981)

魔界転生」、千葉真一沢田研二ほか出演、深作欣二監督、東映、1981


ひさしぶりに見た映画。大学生くらいで見た時はひたすらコワかったが、今見ると、コワさはすっかり抜けていて、どこを見てもおもしろい。

話の展開がサクサク進み、しかも悪役の天草四郎と魔界衆がみなキャラ立ちしている。沢田研二緒形拳、佳那晃子、室田日出男真田広之若山富三郎、と来ればそれも当然。このメンバーも、生きているのは、真田広之沢田研二、佳那晃子だけで、現役で俳優をしているのは真田広之沢田研二だけ。

昔見た時に一番コワかった場面は、松平伊豆守の成田三樹夫が、沢田研二に縊り殺されるところ。成田三樹夫はこっちのほうが妖怪っぽいが、沢田研二の気持ち悪さには負けている。この頃の沢田研二は何をやってもかっこよく、「太陽を盗んだ男」、「ときめきに死す」、「源氏物語」、「いつか黄昏の街で」ほか、名作揃い。

今見ると、最大の見せ場、ラストの千葉真一若山富三郎の親子対決、対沢田研二の頂上決戦はもちろんかっこいい。こんなに火が近くてだいじょうぶなのかと思うくらい、バンバン火が燃えていてそこで斬り合うのだからすばらしい。若山大先生と千葉真一の殺陣の冴えは決まりまくり。沢田研二との対決は、次回作もあるの?と思うような余韻を残した終わり方になっている。

さらにいいのは、佳那晃子と将軍家綱(松橋登)のエロエロタイム。佳那晃子は、たいして美人じゃないが、エロい雰囲気を放出しまくっているし、家綱のバカ殿ぶりはこれとガッツリ組めている。直訴に来た農民たちを「あれは鹿でございます」とバンバン射殺してしまう場面も、非常にいい。

時代劇が最後に輝いていた時代に、集められるだけのキャストを揃え、深作欣二が気合を入れて撮った金字塔。リメイク作品の出来がことごとく悪いことを考えても、この作品の偉大さがわかる。緒形拳ですら、かすんで見えるくらいの役。これ以上の気持ち悪い傑作時代劇はもう出ないだろう。