マッサン 109-114話

「マッサン」、109-114話


前週から6年、余市に来てから8年がたった1940年。ようやく発売できるウィスキーが完成した。しかし市場に受け入れられるかどうかはわからないので、不安を感じるマッサン。

エマとハナは、町の床屋で客にウィスキーを提供して客の反応を見ようとする。そこに居合わせたのが、作家の上杉龍之介(北大路欣也)。上杉は工場にわざわざ来てウィスキーを試飲し、「うまい」と賞賛する。

鴨居商店以外にもいろいろな味のウィスキーが日本でも作られるべきという上杉の言葉に勇気づけられて、マッサンは出資者の渡と野々村にウィスキーを作っていることを報告することを決める。

大阪に電話して数日後、渡と野々村は自ら余市を訪ねてきた。そこでやっと、出資者の了解なくウィスキー製造を始めていたことを白状するマッサン。2人は怒るが、マッサンはリンゴ関連の事業をやめてウィスキー専業でやらせてくれとたのみこむ

渡と野々村に、エリーとエマが昼食をつくってもてなす。さらに熊虎が乗り込んできて、信用してカネを預けたのだったらやらせてやってくれと押し込むので、2人はとうとうマッサンの提案を承諾する。

発売するウィスキーの商品名は、北海道果汁を略して「ドウカ」にすると、マッサンが言い出す。瓶やラベルのデザインも決まり、昭和15年の秋にドウカウィスキーの初出荷が行われる。

エリーは故郷の母に手紙を書く。返事は翌年に、妹から来て、母の調子がよくないので一度スコットランドに帰ってきてほしいと言ってくる。とはいえ、スコットランドに帰国できる状況ではないので、エリーは涙を流すばかり。

発売したウィスキーはいっこうに売れない。マッサンは大麦や石炭を納めている業者に代金も払えない。大阪の渡と野々村から呼び出しを受ける。宣告の内容は、在庫のウィスキーをゼリーやワインのように別の商品に作り直すこと、現在の30人の社員を半分にすること。

マッサンは「経営者の仕事は社員を食わすこと」という、鴨居の大将の言葉を思い出す。余市には、住吉酒造の社長が偶然訪ねてきた。札幌の結婚式のついでに寄ったのだ。

マッサンは住吉の社長に、出資者からの宣告のことを話す。マッサンは、鴨居商店の丸瓶が売れているのは、鴨居には熟成の進んだ原酒があるからだという。自分は50年、100年先のために酒をつくっていると。住吉の社長に何を言われるまでもなく、マッサンの結論は出ている。

マッサンは社員を集めて、人員整理を宣告する。

それからしばらくして、海軍の軍人が余市を訪ねてくる。戦争の影響で洋酒の輸入ができなくなったので、余市を海軍指定工場にして、製品はすべて海軍で買い上げるとのこと。態度は偉そうだが、これで会社は助かった。


この週から、成長した女学校生のエマ役で出ている有希美青、演技は微妙だが、まあこんなもん。戦争のおかげで会社は助かったので、会社としては戦争さまさまにならないとおかしいのだが、そういう話にするのは差し障りがあるので、発注者の海軍は悪者にされ、仕方なく戦争に協力させられたということにしてある。来週はエリーがスパイ扱いでいじめられる話。戦争をなんとか黒歴史にしようとする、制作側の努力はすごい。