戦時用語の基礎知識

北村恒信『戦時用語の基礎知識』、光人社NF文庫、2002


著者は大正14年生まれ、呉海軍工廠に勤め、戦後は消防で勤めていた在野の史家。この本は、戦時に使われていた言葉を100選び、解説をつけたもの。選ばれている言葉は、高等官、在郷軍人会、兵役、幹候、大本営皇軍、警防団、翼賛壮年団、等々。軍隊内部の制度と、戦時中の国内状況に関する言葉を広くカバーしている。

この種の本としては、ひとつひとつの言葉の説明が細かく、図表も豊富。いい加減にしか理解していなかった言葉の意味を確実にしておくためには役立つ。

防空演習はいつから、どのようにやっていたのか、灯火管制の具体的な指示、警戒警報、空襲警報の発令の仕方のようなことがよくわかり、ためになった。あえて言うと、兵器については、他に本がいくらでもあるので、軍隊内外の制度に絞ってもらいたかったが、馬賊男装の麗人、みたいな、普通は書かないようなことでも読んでいて楽しいので、よしとする。

図版もいろいろ載っていて、竹製の鉄兜というものの写真があった。物資がないとはいえ、これを被らされた人は災難だ。