白鳥&萬橘二人会

「白鳥&萬橘二人会」、第26回生らくご会、広島工業大学広島校舎、2014.12.14


「広島で生の落語を聴く会」の例会。

時そば」 白鳥
「大工調べ」 萬橘
(中入り)
「気の長短」 萬橘
「最後のフライト」 白鳥

両人とも、実際の高座を聴くのははじめて。白鳥は、「自分は新潟の田舎者」という自虐ネタを何回も繰り返していた。「時そば」は、ふつうに軽くやっていた。

「最後のフライト」は新作。客に指示して身体を動かさせたりするところがめずらしい。こういう工夫も、客をのせるための方法だから、ありなのかもしれない。政治家ネタも入っていて、主人公は小沢一郎ということになっている。けっこう受けていたが、これは今日が総選挙の日だったから。

選挙の日はみなさん忙しいもので、この落語会も、後ろの方は少し席が余っていたが、このネタにはちょうどいい日。白鳥ご本人も言っていたが、政治家を落語のネタにすることもむずかしくなり、キャラの立っていて、笑いものにできるような大物政治家はなかなかいない。小沢一郎はちょっとネタにするには古いような気もするが、他にネタにできる政治家はいないよね。サゲは、ちょっと政治要素が入ったものだが、これは仕方ないか。

萬橘は、去年真打ちになったばかりの人。しかし、口説がなめらかでとても速い。非常にうまい人。「大工調べ」は前半だけだが、テンポよく運んでいた。「気の長短」は、噺自体をはじめて聞いた。この人の力に比べると役不足のように思う。

白鳥が、「新作を演じることがいかに受け入れられないか」について語っていたが、そんなに昔から落語を聞いていたわけではない自分にとっては、新作に拒否反応を示す人がそんなに多いということが驚きの対象。おもしろければどっちでもいいような気がするが、年のいった人で古典の強いファンにとっては、新作というジャンルが受け入れられないものなのだろう。

クラシックでは、調性音楽と無調音楽では、作品としての性質が違うのだから仕方がないが、落語なんてそんなに古典と新作で違うものではなのだから、どっちでもいいのに。しかし、それだけ落語ファンは古くからの人が多く、古典と新作の違いに対して厳格だということなのかもしれない。