第44回NHK講談大会

「第44回NHK講談大会」、NHKEテレ、2014.10.4


今月のはじめにNHKで流していた講談の番組。講談をほとんど聞いたことがないので、どんなものかと見てみた。

演目は、
神田紫「紀伊国屋文左衛門 宝の入船」
一龍斎貞山「寛政力士伝 谷風情け相撲」
神田松鯉源平盛衰記より 扇の的」
一龍斎貞水「二度目の清書き」

1時間40分くらいの尺になっているが、これだけの時間で講談を流す番組はたぶんこれしかないだろうから、講談師にとっては、この番組への出演が晴れ舞台のはずで、ヘタな人はいないはず。

たしかに出ている人はみなそれなりにうまいが、インパクトがあるのは、やはりトリをとった一龍斎貞水。講談師では唯一の人間国宝というのも納得。口調の流れが非常にいい。しかしところどころ、ちょっと詰まっているところがあるので、この人といえども、全盛期の芸ではないのかもしれない。演目の「二度目の清書き」というのは、赤穂浪士もの。

ほかの講談師は、一龍斎貞水に比べると、一歩譲る感じ。源平盛衰記くらいはわかるが、ネタそのものを知らないということも、そんなにおもしろく感じなかった原因かもしれない。

この番組では、全部の語りに字幕がついていた。講談のネタは、それほどむずかしい内容ではないが、独特の語り口調があるので、字幕があったほうが絶対にわかりやすい。逆に言うと、ライブで見ている人は字幕など見ていないのだから、ネタを知っていなければその分理解は損なわれるかもしれない。

また、これも落語と同じで、テレビ向きではない芸能。1時間40分で4本の語りがあり、他に真打ち昇進者の哨戒やMCがあるので、1演目で20分弱はかかっている。これはEテレ以外ではやらないだろう。

講談の2団体、講談協会日本講談協会のウェブサイトを見ると、月の半分くらいは公演がある。今度東京に行く時には行ってみよう。