大宇宙映画超読本

別冊映画秘宝編集部、岸川靖編『大宇宙映画超読本 「エイリアン」「プロメテウス」驚異の世界』、洋泉社、2012


「別冊映画秘宝」の一冊。副題どおり、もともとは、リドリー・スコット監督「プロメテウス」(2012)の本を作ろうという企画だったのだが、それだけでは売れないだろうから、リドリー・スコットつながりで「エイリアン」を入れ、後はSF映画を何でもかんでも適当に詰め込んでしまえということでできた本。

だいたい「プロメテウス」と「エイリアン」(シリーズ4作全部)で全体の6割以上の分量。自分は「プロメテウス」を見ていないのでどうしようかと思ったが、「エイリアン」が取り上げられているのでまあいいかと思って買ったら、正解だった。

「エイリアン」は、「1」の特撮監修、ブライアン・ジョンソンのインタビュー、ギーガーの「エイリアン」デザインの新規性(エイリアンのデザインから目を削ったのは、リドリー・スコットだというお話)、「2」のかっこよさ、駄作扱いの「4」への愛、その他、「平安京エイリアン」やら、関連グッズやら、なんでもありの内容。たのしめた。

あとの部分はバラバラだが、「惑星大戦争」、「宇宙からのメッセージ銀河大戦」についての文章あり、「スターシップ・トゥルーパーズ」や「コンタクト」も取り上げられていてうれしい。「コンタクト」が客が入らなかったせいで、「トンデモ映画」扱いされているというのには切なくて泣いた。

本の裏の扉は、「アイアン・スカイ」の宣伝になっていて、その公開直前に出た本だとわかる。「アイアン・スカイ」は別に特集が出たからこっちに載っていなくてもいいのだが、分かる人はちゃんと目をつけていたのだ。

執筆者紹介のところに、各執筆者のSF映画ベスト3が全部あげてある。あまり重なっていないところがおもしろい。岸川靖のベスト3は、「2001年宇宙の旅」「禁断の惑星」「エイリアン2」だ。前の方の2本はともかく、そんなにキャメロン好きなのか。岸川靖によると、「エイリアン2」は、「放射能X」と「宇宙の戦士」の影響をロコツに受けているとのこと。いわれてみれば、そんな気もするが、「放射能X」はそんなに影響力あったのか…。、