ドクター・モローの島

ドクター・モローの島」、バート・ランカスターマイケル・ヨークほか出演、ドン・テイラー監督、アメリカ、1977


H.G.ウェルズ『モロー博士の島』の映画化。この前に「獣人島」があるので、リメイクだ。2度めのリメイクとして、「D.N.A./ドクター・モローの島」があるが、そっちは見ていない。

船が難破して孤島にたどりついたアンドリュー(マイケル・ヨーク)。しかし、そこはマッド・サイエンティストのモロー博士が、動物を人間に改造していた恐怖の島でした、という話。原作が書かれた頃は、DNAなんて見つかっていないが、この映画も博士が注射一本打つだけで、獣が簡単に人間になったり、人間が獣になったりする。その変な薬の開発が一番重要なところだろ!と思うが、この映画では、半獣半人の特撮を見せるところに力点があるらしく、「どうやって」の部分はぜんぜん触れられないまま。

その「どうやって獣を人間に」の部分をおいといても、人間になった獣(サル、牛、トラ、クマなどいろいろ)が、片言とはいえ、いきなり英語をしゃべっていたりするので、そこも謎。誰が教えたのか?博士、助手のモンゴメリー、美人のマリアだけが、一応人間なのだが、モンゴメリーはあまり働いてなくて、博士に反抗しようとしたので、さっさと撃ち殺されてしまう。

博士は、獣人たちを「掟」で縛っていたのだが、博士が「人間を殺すな」という掟を破ったことで、獣人たちも、「じゃあこっちも掟なんか守らない」と博士に反乱を起こし、博士はあっさり殺されてしまう。アンドリューはマリアを連れて、漂着したボートでさっさと脱出しておわり。

なんだか、肝心なところを早送りされているようで、物足りない。獣人のメイクは、まあまあそれっぽい。監督は、「新・猿の惑星」のドン・テイラーなので、そこは押さえている。やたら、トラと人間が格闘(ほんとうはじゃれあい)している場面があるが、トラは本物。慣れているのだろうが、これは危ないわ。

モロー博士は、バート・ランカスター。マッド・サイエンティストにはぴったり。「わしがおまえたちを創ったのだ」と言いながら、獣人に殺されしまうところが、この映画のキモなのね。他のキャストはわりとどうでもいい。