麗しのサブリナ

麗しのサブリナ」、オードリー・ヘップバーンハンフリー・ボガードウィリアム・ホールデンほか出演、ビリー・ワイルダー監督、アメリカ、1954


オードリー・ヘップバーンの豪華ラブコメ。初めて見るが、考えてみると、この人の映画は有名作品ばかりのわりに、自分が見ているものは非常に少ない。恋愛ものにはあまり興味がなかったのでしかたない。しかし、これはおもしろい、というか、大財閥の兄弟のハンフリー・ボガードと、ウィリアム・ホールデンが、運転手の娘のオードリー・ヘップバーンの取り合いをするという企画が豪華すぎでしょ。

オードリー・ヘップバーンは、さえない運転手の娘で、お坊ちゃんのウィリアム・ホールデンに惚れていたが、ぜんぜん相手にしてもらえないので、いきなりパリの料理学校に行って帰ってきたら、別人のように可愛くなっていた、という設定。しかし、服装が多少ダサくても、オードリー・ヘップバーンはブサイクにはなりようがないので、パリから帰ってきたら別人のように可愛く、という話そのものにムリが…。確かにパリ帰りのオードリー・ヘップバーンは、衣装も髪も豪華な美人になっていて、そこが見どころだが、美人はどんな格好をしても美人にしか見えない。

ハンフリー・ボガードと、ウィリアム・ホールデンは年齢的に貫禄ありすぎ。ウィリアム・ホールデンなんて、軽薄な役のはずだが、役者が役者なので軽薄に見えない。オードリー・ヘップバーンは、売れてから大物俳優とガチで共演することが多かったから、おかしなことではないのだが、大スターの豪華出演だからなんでも許されるのか。

ハンフリー・ボガードウィリアム・ホールデンが、お互いのサブリナに対する気持ちを知っていて、譲り合い精神を発揮するというストーリーも非常にウソ臭い。これも、大スターたちに花を持たせて、客は喜ぶという、いかにもな配慮。まあみんな夢の国の人だから、何をやっても許されるのだ。

最後は、一人でパリ行きの船に乗ったはずのオードリー・ヘップバーンを、ヘリコプターで後から追いかけたハンフリー・ボガードがいきなり船に現れて、二人は抱擁、というもの。

それにしても、昔の映画だからか、そういう役だからか、オードリーをはじめとして、俳優はみな非常にきれいでわかりやすい英語を話している。上品を絵に描いたような人ばっかり出てくる映画だ。こんな映画ばっかりだったら、字幕なしでもだいじょうぶだ。