怪獣大戦争

怪獣大戦争」、宝田明、ニック・アダムス、土屋嘉男ほか出演、本多猪四郎監督、日本、アメリカ、1965


ついつい流れで見てしまった「怪獣大戦争」。改めて見ると、本編ストーリーが弱すぎるのに、特撮はすばらしい。まあこのギャップがいいのだが…。

X星人はヘルメットとサングラスで顔が隠れているのだが、X星人統制官(よくわからない役職)の土屋嘉男はよくわかる。顔も白く塗られていてよく見えないのだが、よく引き受けたものだ。宝田明とニック・アダムスが軽い感じの役者なので、土屋嘉男で締まっているようなもの。あと田崎潤が博士役で出てくるが、どうみても防衛軍の司令官にしか見えない。

X星人のいかにもな作戦にあっさりひっかかる地球人はマヌケすぎ。そのマヌケさがAサイクル光線車で一気に大逆転されるところがカタルシス。しかし、見どころは、ゴジララドンに壊されるセット。鉄橋や家の瓦が吹き飛ぶ様子は円谷英二の技のすごさを見せつけている。これがあるので、ゴジラが「シェー」をするところも、そんなに気にならない。しかし、当時これを見た大人で、第1作「ゴジラ」を見た人はがっくし来ただろうか。前作「三大怪獣地球最大の決戦」で怪獣たちが字幕で会話しているのを見た人は何も期待していなかったかもしれないが。

X星人のはずなのに、見た目はまるっきり地球人の水野久美がニック・アダムスに惚れてしまって、そこからX星人の計画がいろいろ破綻し始めるのだが、水野久美がなんでニック・アダムスみたいな軽そうな男に(しかも異星人)惚れるのか、よくわからない。相手が宝田明じゃないだけましか。宝田明の妹役で出てくる沢井桂子が非常な美人。とはいえ、この人は大したことはしていない。

とにかく本編はいらないエピソードが多すぎ。関沢新一脚本のゴジラシリーズはだいたいこんな感じだ。X星人は地球を植民地にすると言っているわりには、地球をどう使うのか何も考えていないらしい。最後にX星人が壊滅して、キングギドラが宇宙に逃げていった後で、田崎潤が、宝田明とニック・アダムスに、「君たちがこれからX星を調査するんだ」とか無茶なことを言っている。徹底的にやられていて、ゴジララドンに助けてもらっているのに、懲りない人だ。

音楽は伊福部昭が書いているので、非常によい。音楽と特撮が非常によくて、本編のドラマがダレているというのは、どこか「マイティジャック」に通じるものがある。時期も近いし。しかし、こちらは特撮に圧倒的にお金がかかっているのと、最初から子供向けに作ってあるのとで、一応見られるレベル。これに比べると、「マイティジャック」は見るのがつらい。