チャイコフスキー交響曲第6番、ヴァルチュハ/NHK交響楽団

ウェーバー   歌劇「オベロン」序曲


サン・サーンス ヴァイオリン協奏曲 第3番


チャイコフスキー 交響曲 第6番「悲愴」


   ヴァイオリン:諏訪内晶子

   ユライ・ヴァルチュハ指揮、NHK交響楽団、HBGホール、2014.2.26


N響の広島公演、早くにチケットを手に入れていたからよかったが、チケットは完売。2階まで全部席が埋まっていた。これは広島ではほんとうに珍しい(外国のメジャーな楽団ならともかく)。しかし…。

演奏は非常によかった。ウェーバー「オベロン」序曲が、よく鳴るしっかりした演奏。

サン・サーンスの協奏曲は、諏訪内晶子が上手に弾いていた。オケともきちんと合わせていて、完成度の高い演奏。諏訪内晶子は久しぶりに生を聴いたが、やっぱりよかった。

しかし、この日の聴きものは、やはりチャイコフスキー交響曲第6番。これはN響としても非常な名演。金管はほとんどトチらずにすごい響きを出していたし、ティンパニは体に響くような強烈な音。弦も木管もいい音を出していた。

指揮者のユライ・ヴァルチュハは、スロバキア出身の人。1976年生まれなので、まだ若いが、N響をよく引っ張っている。この人は東京での定期演奏会には出ていない。こんないい人が来てくれて、地方公演なのにラッキーだ。

ところが悲愴ならぬ悲劇が…。まずチャイコフスキーの3楽章が終わったところで拍手した客が多数。やめて!ヴァルチュハは、無視して間髪を入れずに4楽章を始めたが、終結部の音が消えるところで、ヴァルチュハの腕が下がっていないのに、また多数の客が拍手、大声も出していた。もう本当にやめて!

知っていてやっているのか、知らないでやっているのか、よくわからないが、どっちにしても名演が台無し。演奏自体は本当によかったので、返す返すもざんねん。N響がこの僻遠の地に来てくれるのは年に1度だけなのに、こんなことになって指揮者と楽員に詫びを言いたい気分。