青島要塞爆撃命令

「青島要塞爆撃命令」、佐藤允夏木陽介加山雄三ほか出演、古沢憲吾監督、東宝、1963


この映画は子供の頃に何度か見ていたが、大人になってからは長らく見ていなかったので、ほんとうにひさしぶり。しかしやっぱりおもしろい。

第一次世界大戦、青島の「ビスマルク葉菜」を落とすために、海軍は作戦をたてているが、要塞砲が脅威になって攻略がむずかしい。そこで、海軍にできたばかりの航空隊にお鉢が回ってきた。この隊長が池部良。飛行服がかっこいい。隊員は、池部のほかは、佐藤允夏木陽介加山雄三、伊吹徹。何しろ飛行機が2機しかないのだ。このファルマン2機で要塞を爆撃して陥落させようというのだが、最初は落とす爆弾もないようなありさま。しかも敵のドイツ軍には強敵のタウベが1機あるのだ。

中国人でドイツ軍のスパイをやっている浜美枝とか、タウベとの空中戦とか、爆弾のかわりに釘の入った箱(なんで飛行機にそんなものを積んでいるのか)を落として、ドイツ兵の足が文字通り釘付けになったりとか、浜美枝を助けてやったら情けは人のためならず、佐藤允夏木陽介がドイツ軍に捕まった時に逃してくれたりとか、とにかくモリモリの展開。

最後は、飛行機を載せていった若宮丸がやられ、飛行機のタウベに1機落とされているので、1機しかのこっていない。この状況で司令官は飛行機抜きで、艦隊で要塞を強攻しようとする。池部良は、なんとか1機でもって、敵の弾薬輸送列車を潰そうとするのだが、飛行機の燃料がもたない。そこで、池部良が部下を連れて、燃料を背中に担いで敵中に潜入。クリークに着陸した飛行機に燃料を補給して離陸。爆弾はなかなか当たらないのだが、最後に弾薬列車がトンネルに入る間際に最後尾に火がつき、そのまま列車は弾薬庫に突入、というもの。

見せ場だらけだが、ラストの弾薬列車の突入シーンはちゃんと覚えていた。砲弾が列車に積んであるのだが、これがトンネル内で、順番にどんどん火がついていく。ちょうど機関車に火が届きそうになったところで、燃える列車が弾薬庫に突っ込む。この場面はいま見ても鳥肌モノだ。

とにかく全体が活劇で、非常に明るい。太平洋戦争が舞台のものでも、「零戦黒雲一家」とかあるが、なかなかここまで明るく戦争を描けている映画はないだろう。飛行機(ファルマンは実物大サイズを作っている)、特撮とも文句なし。これは名画。