日本発見 瀬戸内海

「日本発見」、「瀬戸内海」1961


この回は都道府県ではなく、「瀬戸内海」という地域でくくった回。神戸港から話が始まる。神戸-別府間を13時間で結ぶ「むらさき丸」という観光船(フェリーではない)が登場。新幹線が新大阪以西に伸びていなかったので、これでもそれなりに早かったのだ。いまの神戸ー大分航路はフェリーで11時間半。

次に映っているのは赤穂の塩田。自分が子供の頃は、まだ塩田はあった。これはなつかしい。小豆島の醤油は、ラベルを手で貼ってる。ほんとの家内工業だ。小豆島だけで醤油工場が60あると言っている。笠岡市の真鍋島では花の栽培をしている。全部おばちゃんの手作業。この近くに、離島ではないが親の実家があったので、小漁村の風景は昔見たものそのまま。

瀬戸内海といえば漁業だが。乱獲がたたって漁獲が減り、若者が漁業によりつかなくなったと言っている。しかも映っている船は手漕ぎだ。養殖は真珠だけが紹介されている。今は真珠養殖もほとんど儲からず、ほとんど絶滅寸前の仕事。

尾道では、向島との渡船フェリーの映像が出てくる。フェリーに乗っているのは、初代クラウンや、マツダオート三輪。渡船は客でいっぱい。尾道には「浜問屋」の建物がたくさん残っている。当然今は絶滅。ここが物資の集散地だった昔の姿だ。映画「東京物語」はもうできているが、尾道はまだ観光の町ではなく、造船と海運の町。まだ機帆船がいる。瀬戸内海の船の8割が機帆船だとナレーションで言ってる。船に乗っている人はほとんど水上生活者。

愛媛県大三島は、昔からの国宝の島。ここも橋がかかってだいぶ変わっているが…。

瀬戸内海の西端は大分県。ここと、水島、岩国、新居浜石油化学工業が、この頃の瀬戸内海地域の最新産業。

この回は、昔や今の姿を知っている場所が映っていたのでおもしろかった。尾道は、街の様子はすっかり変わっているが、道路は変わっていないので、どこに何があったかがすぐわかる。50年前はこうなっていたのか。これから兵庫、岡山、愛媛あたりの回がたのしみ。