情熱大陸 石丸次郎

情熱大陸」、「ジャーナリスト 石丸次郎」、2013.12.22


情熱大陸」のこの回は、北朝鮮情報のジャーナリスト、石丸次郎。石丸の取材の様子を逐一、ビデオに撮っている。

中国にいる協力者と北朝鮮に入る協力者の電話での会話は、音声ファイルになってメールで送られてくる。これは便利だ。こうすると又聞きにつきものの誤解や意思の不疎通を避けられる。なので、通常の情報はこれで取ってこられるが、石丸自身が中国まで出向かなければならないこともある。

それは中国での現地情報から北朝鮮の状況を知る必要がある場合と、北朝鮮の協力者から送られてくるビデオテープを受け取る場合。特に後者は本当に危ない。どうやってテープを北朝鮮から中国に持ちだしているかについては当然コメントされていないが、この運び屋をやっている人は捕まれば命がない。

取材中、石丸がいつも生やしているひげをそったり(中国人はひげをたくわえないので、目立つ)、国境警備隊に捕まって尋問されたり(5時間拘束されたといっている)、危ないことは危ないが、それは最悪、中国から日本に送還されるレベルの危なさ。北朝鮮に入る協力者は、次元の違う危険をかぶって情報を持ってきている。

北朝鮮国内での取材ビデオでは、軍人が食糧事情について話しているが、この映像、カメラアングルは隠し撮りではなくて、明らかにカメラを向けられていることを相手が知っていると思われるもの。「食糧事情は情けなくて口に出せない、トウモロコシでも配給があればまだまし」と言っている。これは取材相手をよく選ばないとできないこと。

別の映像では、地方都市の幹部会議のようすが映っている。金日成金正日の肖像が掲げられた会場で、金正恩崇拝が演説されている間に、後ろの方に座っている出席者は、「早く終わればいいのに。お腹が減って死にそうだ」と文句を言っている。これも貴重品。

取材だけでなく、素材をテレビ局に売り込む営業もしなければならない。フリーのジャーナリストは全部自分がかぶるから、並大抵の努力ではつとまらない。石丸次郎の仕事が紹介されただけで、この番組の価値はある。