琥珀色のキラキラ

琥珀色のキラキラ」、尾野真千子松原菜野花滝藤賢一ほか出演、中野量太監督、VIPO、2008


「若手映画作家プロジェクト」の中編映画(30分)。尾野真千子以外は知らない役者。タイトルの「琥珀色のキラキラ」というのは、検尿で取った尿のこと。

中学生の松原菜野花は、母親が死んでしまい、父親と二人暮らしになっているが、そこに週2回、父親の恋人の尾野真千子が訪ねてきている。尾野真千子は早く家族になりたがっているのだが、中学生の女の子は簡単に母親の代わりを受け入れられない。

松原菜野花は、友達から「検尿から甘い臭いがしたら、死ぬまで治らない病気だ」と聞かされてそれを信じている。母親が死んでいるので、父親が病気でないかどうか心配なのだ。父親の検尿容器を開けて、中身を舐めて確かめている。この描写は検尿というネタを上手に使っている。

尾野真千子は、ちょっとやさぐれた感じの喫茶店のママで、ちょっと乱暴なしぐさと関西弁がいい。松原菜野花が本を万引きして、引き取りに行くところ、松原菜野花といっしょに本屋の店員を殴ってしまう場面や、父親の尿が本当に甘いかどうかをラブホテルに連れて行って確かめるくだりは、とてもうまい。

3人がなんとか家族っぽくなって、ソファーで寝ているところはよく出来ていて、これで終わればいいのにと思っていたが、ラストはさらにどんでん返しがあった。ここもうまく描けている。

俳優もいいけど、脚本がよく書けている。中学生の松原菜野花は当たり。おもしろかった。