宇宙快速船

「宇宙快速船」、千葉真一、松本克平、水上竜子ほか出演、太田浩児監督、ニュー東映、1961


千葉真一の初期の出演作(3作目)。千葉真一ガガーリンと協力して宇宙船を作ったことになっている。ガガーリンは宇宙船作ってないというのはともかく、飛んだばかりのガガーリンは日本でもヒーローだったらしい。ロシア人の名前は出ても、アメリカ人の博士というのは出てこない。

千葉真一は、科学者という触れ込みで、あまり運動は得意じゃないので、子どもたちからはあんまり受けがよくない。子供たちは、野原にいきなりデカイ宇宙船(なぜか巨大な翼つき)が直立しているのを発見。宇宙人(海王星人)が子供を捕まえようとすると、唐突に変な車が登場。明らかに普通の自動車にちょっと船っぽいボデーを架装したもの。これが空から飛んでくるのだ。空を飛ぶ部分はミニチュアだからどうにでもできるが、車は実物があるので、あまりかっこよく作れなかったらしい。

変な車に乗った黒いゴーグルのお兄さん(もちろん千葉真一)は宇宙人と格闘して子供らを助けだすが、宇宙人はぜんぜんやられておらず、そのまま空に飛んでいってしまう。何しにきたの。

変な車のお兄さんは名乗らないのだが、子供たちが空想していたヒーローの名前「アイアンシャープ」を勝手につけられてしまう。「シャープ」はこの時期、すでに会社があったと思うが、問題なかったのか?

宇宙船のおかげで、時計が逆に回ったり、電車が急にバックしたりする。東京中の電気も停電(なのに、研究所の電気はついていいる)。山の中にあるので、東京じゃない設定なのか?

最初は、ソ連のしわざだと、幕僚長(自衛隊とは言ってない)やアメリカは疑っていたのだが、子どもたちはちゃんと宇宙人のせいだと知っているのである。そこで宇宙船は千葉真一のいる、松本克平の研究所を襲撃。しかし、研究所にはちゃんと「エレキバリア」の用意があったのだ。

宇宙人はこんなことにはめげずに、自衛隊員(とは言ってないが)に変装して、研究所に電気を送っている発電所を襲撃。しかしそれに気づいた子どもたちの機転と、またまた現れたアイアンシャープの活躍で宇宙人は退治される。研究所の博士は宇宙人の電波で倒れちゃう。

さらに宇宙人の小型円盤が工業地帯やら、国会議事堂を襲撃。工業地帯、ビル街、東京タワー、国会議事堂は派手に吹き飛んでしまう。この場面はじょうずに合成ができていて、なかなかカッコイイ。有楽町そごうもあっさり爆発。

そこにまたまたアイアンシャープの変な飛行機車がやってきて格闘戦。この格闘戦も、爆発の瞬間に露骨に吊りワイヤーが映っているところを除けば、なかなかの出来。ところが撃墜された敵の宇宙船が研究所に激突。ほぼ半壊状態。というより、あの当たり方では、研究所の中の人は全員死ぬか大怪我だと思うが…。

まあ、研究所はそんなに壊れてなかったということで、ロケット発射の命令が出た。地中からミサイル発射基がせり上がってきて、海王線人の母船は大爆発。ばんざーい、ということで、子どもたちと、千葉真一、それに博士の娘の水上竜子(ゴドラ姐さん)はみんなで手をつないでアイアンシャープの歌を歌うのでした。水上竜子はこれが映画初出演。


アイアンシャープと飛行機車の微妙な造形、「禁断の惑星」のロビーを明らかにパクっている海王星人のデザインほか、いろいろとあるが、町の破壊シーンは文句なくいい。単なるアホっぽい好青年の千葉真一もグッド。ちなみに千葉真一が実はアイアンシャープだということは、ハッキリとは言ってないのだ。